(その1)より。。。


2周目のシングルトラックに単独で入っていく。

シングルトラックだと

前に他の選手がいると

なかなかスピードアップができないが

俺がトップなのでガンガン攻めていけるのが気持ちいい。


後を何度か振り返ってみるが

2位の選手はまったく見えない。

完璧に振り切ったみたいだ。


最初の舗装路の登りになってみると

なぜか1周目のようなスピードが出ない。


「なんで??」


激坂を登って柵沿いの長い登りになると

あきらかにスピードが乗っていないのが分かる。

脚は絶好調なのに。。。


もしかしてパンク。。。???


不安が頭をよぎった。


恐る恐るタイヤを見てみると

もう半分ぐらいタイヤがつぶれているではないか!!

空気圧にしたら1を切っているかも?


低速でしか登れないシングルトラックならまだいいが

舗装路や固い路面の登りでは

路面抵抗が大きすぎてスピードが出ない。


2位をあれだけ引き離していたのに

柵沿いの登りの後半で抜かれてしまった。


登り切ったら下りになるので

ドンドン追いかける。

トップの選手はマッドのシングルトラックが苦手らしく。

アッという間に追いついて

ピッタリと後についていく。


途中のタイトコーナーのところで

コースに張ってあったテープが

風にあおられて俺のハンドルに絡んでしまった。

テープを外そうとしていたら

テープを止めてある杭にぶつかって止まってしまった。


「こんな所にテープなんかいらいよ~」


少しテープと格闘して外したが2位の選手は行ってしまった。


しかし追い上げていき

トップの選手の後に張り付いた。


その後何度か舗装路の登りを登るのだが

ここではパンクのおかげで

路面抵抗が大きくてスピードが乗らず

離されてしまう。


そしてまたシングルトラックで追いつくという繰り返し。


さぁシングルトラックが終わってBMXコースに入ってきた。

どうやらコースの最初のギャップで1周目に落車があったらしく

「左によって下さい」

と役員が叫んでいる。


BMXコースのウォッシュボードに入っていくと。

トップの選手のスピードが一気に落ちた。

どうやら苦手らしい。


すぐに追い越して俺がトップに立った。

しかし

BMXコース出口の短いちょっと急坂でまた抜き返される。


BMXコースの外周道路の下りまでは

ピッタリくっついて後に張り付いていたが

登りになると離されてしまう。


段々タイヤの空気圧が減ってきているのが分かる。

どこまで持ってくれるのか??


路面抵抗はかなり大きいが

まだリム打ちするほどではないので

がむしゃらに追いかけて登っていく。


一部、対面通行の場所があるのだが

ここで3位を走っている影○さんとすれ違った。

タイム差にしたら2~3分ぐらいはあるかも。


そしてホームストレートに出た。

3周目に突入!!


エキスパートクラスは

1周約5kmを4周なので

残り2周だ。


トップの選手の背中が小さく見えている。

相変わらず向かい風が強い!!


タイムにしたら15~20秒差ぐらいだろうか?


シングルトラックに入って

すぐにトップ選手に追いついた。


マッドな路面で俺が乗っていけるところでも

バイクを押して登っている。

マッドコンディションはかなり苦手らしい。


宿舎下の舗装路の手前の急な登りで

バイクを押し始めたので

横から抜いて俺がまたトップに立った。


しかし、

舗装路の登りになるとまた抜き返される。


タイヤを見るともう空気は半分以下になっていて

ギャップがあるとリム打ちするようになってきた。


タイヤはチューブレスなので

一気に空気が抜けてしまう事はないのがまだましだが。。。


柵沿いの長い登りでは全くスピードが出ずに

かなり離されてしまった。


くそ~!!


登り切ったところで後を振り返ってみたが

まだ3位の影○選手はまったく見えない。

しかし

これ以上タイヤの空気が抜けると

追いつかれてしまうのは確実だ。


なので

シングルトラックでは限界ギリギリまで攻めていく。


途中で舗装路に出る手前で

スリッピーな激下りがあるのだが

ここで空気圧の少なくなったタイヤがよれてしまって落車。


激下りなので

勢いがついたまま右側にある立木に激突して止まった。

その時に

右脇腹を強打してしまい


しばらく悶絶。。。(泣)


これであばらにヒビが入ってしまったかも。。。

それぐらい痛い。。。


痛いのを耐えながらバイクを起こして再スタート!!


しかし


こんなところでモタモタしている訳にはいかない。

脇腹はかなり痛いがペダリングは出来る!!


BMXコースの入口のシングルトラックの終わり辺りで

高倉さんが応援してくれている。


「パンク~!!」


と叫びながら通過。


https://livedoor.blogimg.jp/js1ktr/imgs/b/c/bc619e4a.jpg


トップの選手はかなり前を走っている。

空気圧さえ正常ならすぐに追いつけるのに。。。


ここでたらればの話をしてもしょうがない。

現在の状況での最善の走りをするだけだ。


https://livedoor.blogimg.jp/js1ktr/imgs/1/f/1f87cb6e.jpg


まだ微妙に空気が残っているが

ギャップがあるとゴリゴリとリムにあたっているのがよく分かる。


https://livedoor.blogimg.jp/js1ktr/imgs/a/5/a5f929d7.jpg
 リヤタイヤはパンクしてこんな状態。(笑)


BMXコースの外周の対面通行で

3位で走っている影○さんとまたすれ違った。

ほんの少しだけ追いついて来ている。


外周道路の登りになると

悲しいぐらいスピードが出ない。


なんとかホームストレートに戻ってきた。


このまま走ったらリムが壊れてしまう可能性もある。

普通ならここでリタイヤするだろう。


しかし3位の影○選手には2~3分の差を付けているし、

4位以降の選手には5分以上の差を付けているかも。


このまま走ればなんとかなるか??


しかし

さっき落車でぶつけたあばらはかなり痛いし。。。

高価なリムを壊してしまう可能性もあるし。。


ホームストレートに入って

リタイヤするかそのまま走るかの選択に迫られた。


しかし


強気の俺が

弱気の俺をたたきつぶした。


「GO!GO!GO!」


残り1周なら行くしかない。

これくらいの逆境で負けているようではダメだ。


(その3)へ続く。。。


(レース参戦記録) 
2008年      http://www.big.or.jp/~arimochi/2008.race.html
2007年      http://www.big.or.jp/~arimochi/2007.race.html
2004~2006年 http://www.big.or.jp/~arimochi/race.kiroku.html